貧困と闘う知~①教育~

[目標]開発分野で誰も成し遂げたことのない変化を起こしたい

[現状]知識、能力、行動が不足している

[課題]登るべき山とルートが明確ではない

[目的]手段を学び、分野と立場を明確にする

 

<題名>

貧困と闘う知~教育、医療、金融、ガバナンス~

<著者>

エステル・デュロフ

<発行>

初版:2017年2月/第4版:2020年2月

<何を学べるか>

インド、アフリカ、メキシコ、バングラデシュにおける、人間開発のための様々な政策を比較し、開発を効果的に進めるために重要な要因を学ぶことができる。より具体的には、伝統的な政策がどれほどその目的を果たせたのか、またこれほどまでに進歩が遅いのはなぜかについて、アクターの行動や動機から、原因や解決の一方法を学ぶことができる。この本のカバー分野は、教育、医療、金融、ガバナンスである。

 

<要点>

[教育:どのように普及させるか]

  • 伝統的なアプローチでは、できるだけ多くの子供たちを通わせるためには、まずは入学させることが一義的に重要で、親はそれを実現させるために説得すべき重要な主体であり、真の妨げになっているのは教育費の問題だと考える。子供が学校へ行くと、直接的な費用(入学金や交通費、制服代)と間接的な費用(親の手伝いや兄弟の世話などができなくなる)がかかると考えれており、それが理由で親は子供の就学に積極的になれないケースが多い。実際、制服の無料支給を行うと、退学率が減少するデータもある。
  • しかし、伝統的なアプローチは「子供の欠席率」と「教育の質」に目を向けられていない。就学していることが出席していることと同義ではなく、また、出席していることが良質な教育を受けていることと同義ではない。

[出席率と教育の質の改善]

教育の利益を改善することが、就学率と出席率を向上させる可能性がある

  • 教育の利益の認識に関わる3つの要因
  1. 労働市場での価値の有無(得られた知識が市場価値を高める)
  2. 教育の利益に関する情報(親や地域住民に価値が認められているか
  3. 教育の質(価値のある教育を受けられるか)
  • 実際、事実/数字に焦点を当てて、親に教育利益を説明することが、利益を強く認識する。

子供たちの栄養改善

  • 子供たちの健康や栄養を改善することで、欠席率は低下する

教育の質の改善

  • 質改善のための3つの方法
  1. 教育に割り当てる手段をふやす(教科書、教室を増やす)→△(量を増やしても意味がない)
  2. ニーズに合うよう教育方法を変える→○(レベル別のクラスで、質向上)
  3. 教員のモチベーションを高める→○(意欲の高い先生で、質向上/ 意欲が低い先生に出勤のインセンティブを与えても、教育の質は上がらない)

親の権限を強化

  • 学校教育において、親に学校の監視をしてもらうことが、教育の質の改善につながる。実際、親へ、他生徒や他学校の成績開示を行うことで、学校側に質をたかめるようアクションをとることもわかっている。しかし、私立学校と公立学校で親のアクション有無に違いはある。→親たちに情報の開示をし、正しいアクションを取れるようサポートする必要がある。

学校を改革する

  • 教員側のモチベーションを上げるために、短期的には労力を報酬と紐付けし、長期的にはより大きな責任を果たせるような環境づくりが必要である。子供たちには、より多様性を認め、基礎知識の習得を重視した教育を行う必要がある。

 

<学び・感想>

  • 子供、親、教師にどのようにモチベーションを与え、教育の量と質を担保すべきか、少し学ぶことがでた。しかし、どれか一つの要因を帰れば解決するわけではない。そのため、それぞれのアクターの心理面や置かれた状況を理解することが大切だと感じた。